不貞行為の相手方に慰謝料を請求し、給与を差し押さえた事例

1 事案の概要

依頼者の夫が不貞行為を働き、夫と離婚した後、不貞行為の相手女性に対して慰謝料の請求をしたいとのご相談を受けました。

既に夫との間では公正証書を作成して離婚が成立しており、相手女性との関係で不貞慰謝料を請求したいとのことでした。しかし、不貞女性が任意に慰謝料を支払う可能性は低く、回収に困難が予想されるケースでした。

2 当事務所の対応

まず、不貞行為の相手女性に対し、不貞行為に基づく損害賠償請求(慰謝料請求)を行いました。

訴訟では、不貞行為の事実自体に争いはなかったため、主に金額の点が審理対象となりましたが、相手女性は支払能力がないことを理由に支払いを拒み続け、結局、220万円の慰謝料を求める判決を得ました。

判決が確定してからも、相手女性は一向に慰謝料の支払いをしようとはしませんでした。理由は、慰謝料を支払えるだけの余力がないからということでした。

しかし、実は相手女性は、ある会社の正社員として勤務していたため、毎月安定した給与収入がありました。また、相手女性の夫にも給与収入があったため、毎月数万円の慰謝料を払ったとしても十分に生活は可能だと思われました。そこで、相手女性の給与について債権差押命令の申立てを行ったところ、これが認められ、給与の4分の1の金額を毎月勤務先会社から直接受領することができることとなりました。

3 ポイント

不貞行為の慰謝料を請求する場合、判決でどれくらいの慰謝料を認めてもらえるかも重要ですが、それ以上に、判決で認容された慰謝料をどのように回収するかがポイントになります。特に、資力が乏しい人を相手にする場合、判決で慰謝料を認めてもらっても実際に回収ができないケースもありうるからです。

慰謝料請求に当たっては、そのような点も十分配慮しながら、訴訟上の和解の可能性や、判決獲得後の強制執行のタイミングなどを十分に検討しておく必要があります。