財産分与を請求できる期限

財産分与は、離婚に伴う夫婦共有財産の清算であるため、通常は離婚と同時に合意をしておくことが望ましいですが、場合によっては、離婚届だけ先に提出し、その後で財産分与などの話し合いをすることもあります。

その場合に、気になるのが、その請求期限ですが、 民法上、財産分与は離婚の日から2年以内に請求しなければならないこととなっています(民法第768条2項)。

そして、この請求期限は、法律的には「除斥期間」と解されています。

消滅時効と除斥期間

権利行使の時的限界としては、除斥期間の他に「消滅時効」がありますが、消滅時効と除斥期間は以下の点で異なるとされています。

消滅時効除斥期間
中断する(民147ほか)しない
停止する(民158ほか)原則しない
(例外あり)
起算点権利行使可能時(民166)権利発生時
援用の要否必要(民145)不要
遡及効あり(民144)なし
民167~174の2、724本文、1042前段、商522民126後段、426後段、566Ⅲ、637、638、724但書、1042後段

2年以内に何をすれば良いか

2年以内に財産分与をしなければならないと言っても、離婚後、話し合いをしているうちにそれなりの時間が過ぎてしまうこともあります。そのような場合に、どうすれば権利を保全できるのでしょうか。

これについては、民法768条2項及び3項に定めるとおり、家庭裁判所に財産分与の額及び方法を定める処分を求めることになります。具体的には、財産分与の家事審判の申立てをするということですね。

なお、家事審判ではなく、家事調停を申し立てることでも問題ありません。家事事件手続法では、家事調停が不成立になった場合には、家事調停申立てのときに、家事審判の申立てがあったものとみなすものとされており(家事事件手続法272条4項)、当然に家事審判手続きへ移行します。

一般的には、審判申立てではなく、調停申立てを行うことの方が多いでしょう。